「道の駅はなわ」は、単なる胃袋の補給基地にとどまらない。敷地内や周辺を少し散策するだけで、この土地が背負ってきた濃密な歴史の地層が顔を覗かせる。江戸時代、この地には幕府直轄領を束ねる塙代官所が置かれていた。なかでも今なお町民から敬愛を集める名代官が、寺西封元(てらにし よしもと)である。
封元は天明の大飢饉で荒廃した農村を立て直すべく、間引きを防ぐ「赤子養育仕法」を確立し、多くの命を救った民政の達人だ。道の駅の展示や案内板に触れ、歴史の余韻を噛み締めながら飲むコーヒーは格別の味わいがある。農産物の豊かさの背景には、数百年前に命がけで土地と民を守り抜いた先人たちの知恵と執念が息づいている。そう実感した瞬間、目の前の風景がまるで違った解像度で迫ってきた。