絶滅が科学的に証明されているにもかかわらず、現在でも年に数回、ネット掲示板やSNS、時には地方紙の警察情報コーナーに「〇〇市でクマのような動物を目撃」という速報が流れることがあります。これらは一体何なのでしょうか。
森林生態の専門家や地元自治体の鳥獣対策課による現場検証の結果、寄せられた目撃情報の正体は以下のような「他の野生動物の誤認」であることが証明されています。
- ニホンカモシカ(特別天然記念物):九州山地にはカモシカが生息しており、黒っぽい毛色の個体を遠目や薄暗い時間帯に見ると、体型やシルエットが子グマと酷似するため最も誤認されやすい。
- 大型のイノシシ:泥浴びをして黒く光った大型のオスイノシシが笹薮をガサガサと揺らす姿は、クマと見間違える典型例。
- 放牧中の黒毛和牛:阿蘇や九重などの放牧エリア周辺の林道で、夜間にエスケープした牛の黒い巨体を目撃し、パニックになってクマと通報する事例。
- アナグマ・大型タヌキ:至近距離で一瞬目撃した際、丸っこい体型から「クマの幼獣」と脳内補正されてしまうケース。
人間は「いるはずがない」と思っていても、山中で突然黒い大型動物に遭遇すると、恐怖心から無意識にクマの姿を重ね合わせてしまう心理的バイアスが働きます。警察や行政が現場確認を行っても、爪痕(樹幹のひっかき傷)やフンなどの物的痕跡が発見された事例は2000年代以降1件もありません。