では、抗ヒスタミン成分が重複すると体内では具体的に何が起きるのでしょうか。アレルギー薬や市販風邪薬に含まれる成分は、アレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン受容体」を塞ぐ働きを持ちますが、同時に脳内の中枢神経や自律神経系にも影響を及ぼします。
第1のリスクは、抗ヒスタミン薬による強烈な眠気と集中力低下(インペアード・パフォーマンス)です。特に第1世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンマレイン酸塩やクレマスチンフマル酸塩など)が配合された風邪薬とアレルギー薬が重なると、本人が気づかないうちに脳の認知機能が大幅に低下し、自動車事故や作業事故の発生確率が跳ね上がります。
第2のリスクは、「抗コリン作用」の過剰発現です。これにより以下の身体的症状が顕著に現れます。
- 抗ヒスタミン薬による口の渇き:唾液分泌が極端に抑制され、喉の粘膜が乾燥して風邪の炎症が悪化する要因になる。
- 排尿困難・尿閉:膀胱の筋肉が弛緩し尿道が締まりやすくなるため、特に前立腺肥大症の既往がある男性では尿が出なくなる危険がある。
- 眼圧の上昇:瞳孔が散大し眼圧が上がるため、緑内障を患っている患者は症状が急激に悪化する恐れがある。
- 便秘や胃腸機能の低下:消化管運動が鈍くなり、腹部膨満感や便秘を引き起こす。