妊婦健診のたびに赤ちゃんが手で顔を隠してしまうと、意図的に顔を背けているように思えるかもしれません。しかし、これには子宮内環境と胎児の骨格発達に基づいた明確な医学的理由が存在します。
胎児はお腹の中で、背中を丸めて手足を胸の前に引き寄せる「胎児姿勢(Cカーブ)」をとっています。子宮という限られた空間の中で最も安定し、関節や筋肉に負担がかからない姿勢を保つと、エコー写真における赤ちゃんの手の位置は必然的に顔のすぐ近く、あるいは目や口を覆うポジションへ配置されます。
胎児は周囲の羊水や子宮壁の感触を手で確かめており、刺激から無意識に身を守るように手を顔の前に添えるケースも珍しくありません。大人が眠るときに無意識に腕を組んだり枕を抱えたりするのと同様に、胎児にとっても「顔の前に手を置く体勢」が最もリラックスできるデフォルトのポジションなのです。