インターネット上の旅行コミュニティや宿泊記ブログで「予約がまったく取れない」と嘆息される背景には、単なる知名度の上昇だけではない構造的な要因があります。最大の理由は、「客室露天風呂・半露天風呂付き離れ」という高付加価値カテゴリーにおける価格の絶対的優位性です。通常、由布院や黒川温泉周辺で同等の客室露天風呂付き離れに宿泊する場合、1泊2食付きで1名あたり3万〜5万円以上が一般的な市場相場となります。しかし、虎の湯は素泊まりベースで1名あたり4,000円〜7,000円台という驚異的な価格帯を維持しています。
この価格破壊を支えているのが、流通大手「トライアル」グループによる徹底した合理化モデルです。仲居による案内や部屋食の配膳といった伝統的な旅館業務を大胆にカットし、チェックイン手続きの機械化やアメニティの選択制など、スマートホテルに近い合理的なオペレーションを導入。人件費を極限まで抑制しながら、温泉の質や建物の防音性・清潔感といった宿泊の本質的価値へ資本を集中的に投下しています。
さらに、1日あたりの総客室数が限定された離れ構造であるため、供給数に対して需要が圧倒的に超過しています。リピーターが数ヶ月先の宿泊枠を即座に抑えてしまうため、新規の旅行者が一般的な旅行予約サイトを開いたときには「常に満室」と表示されるスパイラルが生まれているのが実情です。