ネット上や週刊誌報道では、彼女の転落劇に関してさまざまな憶測が飛び交っています。中でも代表的なのが「母・坂口良子の数億円に及ぶ遺産をすべてホストで使い果たした」という言説です。しかし、報道関係者への取材や当時の相続実態を精査すると、事実とは異なる側面が見えてきます。
第一に、坂口良子さんの遺産規模に関する誤解です。かつてトップ女優として君臨した母ですが、前夫の連帯保証債務や病気療養に伴う莫大な医療費の支払いがあり、ネット上で噂された「数億円の現金資産」は残されていませんでした。遺産の大半は都内の不動産などであり、即座に換金できる純資産は限られていたと報じられています。さらに、2012年に母が再婚したプロゴルファー・尾崎健夫氏との間での遺産分割協議や相続税の負担もあり、杏里自身が自由に使えるキャッシュは世間が想像するほど巨額ではなかったのが実情です。
第二に、ホスト通い 借金理由の複雑さです。彼女がホストクラブにのめり込んだのは、単なる享楽や見栄だけではありませんでした。「芸能界の二世」という看板を背負いながらも、母を失って一人きりになった彼女に対し、夜の街の男たちは巧みな甘言で接近しました。「寂しさを埋めてくれる唯一の理解者」としてホストを盲信させ、売り上げ競争のために高額ボトルを競わせる売掛金(ツケ)システムが、彼女の金銭感覚を麻痺させていったのです。遺産を使い切ったというよりは、身の丈に合わない過剰な売掛金を背負わされ、返済能力を超えた負債に絡め取られたというのが実態に近い構図といえます。