2012年、娘役転向からわずか約1年後、愛希れいかは月組トップ娘役に抜擢されます。就任時の学年は研4という異例の若さでした。お披露目公演となった大作『ロミオとジュリエット』のジュリエット役では、無垢な少女の透明感と芯の強さを鮮烈に表現し、観客と劇団関係者に大きな衝撃を与えました。
彼女のトップ娘役時代は、大きく2つの異なる黄金期に分かれます。
1. 龍真咲との時代:表現の枠を壊し続けた刺激的な挑戦
当時の月組トップスター・龍真咲とのコンビでは、個性と個性が火花を散らすようなエネルギッシュな舞台空間が形成されました。『ベルサイユのばら』『ME AND MY GIRL』『1789 -バスティーユの恋人たち-』など、多彩な演目を通じて、愛希は単なる「控えめな娘役」にとどまらない、ダイナミックで力強いヒロイン像を確立していきました。龍真咲の圧倒的なスター性に触発され、愛希自身の表現力と歌唱力は劇的な進化を遂げました。
2. 珠城りょうとの時代:成熟した包容力と絶対的信頼のパートナーシップ
2016年に珠城りょうが新トップスターに就任すると、愛希は上級生トップ娘役として相手役を支えつつ、舞台の核としての責任を担いました。『グランドホテル』のエリザヴェータ・グルーシンスカヤ役や『カンパニー -努力、情熱、そしてそして情熱-』など、大人の深みを感じさせる芝居を披露。体格差とダンススキルの調和が生み出すデュエットダンスは、「宝塚史上屈指の完成度」と絶賛されました。
特筆すべきは2018年、宝塚バウホールにおいて娘役単独主演となる『愛聖女(サントダムール)-Sainte♡d’Amour-』が上演されたことです。娘役の単独主演は、1997年の月影瞳以来、劇団史上約21年ぶりの快挙であり、劇団内における彼女の卓越した求心力を象徴する出来事となりました。