蚊に刺されやすい人の臭いにおいて、決定的な役割を果たしている部位が「足の裏」です。かつて高校生の研究をきっかけに世界的な注目を集めたこの発見は、その後の昆虫行動学や皮膚微生物学の研究でも裏付けが進んでいます。
足の裏は汗腺が密集しており、靴や靴下によって高温多湿な環境が作られやすい場所です。ここに存在する「足の裏の常在菌」が汗や角質、皮脂を分解する過程で、独特の刺激臭を持つ「イソ吉草酸」をはじめとする短鎖・中鎖脂肪酸を生成します。蚊(特にヒトスジシマカやアカイエカ)は、このイソ吉草酸を含む特定の脂肪酸ブレンドに極めて強い吸血意欲を刺激される習性を持っています。常在菌の種類が多様であったり菌の活動が活発であったりする人ほど、蚊にとって見逃せない誘引物質を足元から立ち上らせてしまう構図です。