この巨大な産業の幕を開けたのは、ひとりの女性の日常的な観察眼だった。当時、ゲーム開発会社に勤務していた佐々木美恵氏が着目したのは、女子学生たちが手帳や文房具にお気に入りのシールを隙間なく貼り付けて持ち歩く日常風景だった。「自分たちの写真がそのままシールになれば、絶対に喜ばれるはずだ」。この直感がすべての始まりとなる。
しかし、当時のアーケードゲーム業界は男性向けの対戦型格闘ゲームやシューティングゲームが主役の時代。女性をターゲットにした写真シール機というアイデアは、当初社内でも懐疑的な目で見られていたという。それでも佐々木氏は諦めず、小型のインスタントカメラと感熱プリンターを組み合わせた試作機を具現化。女性視点の「欲しい」を愚直に突き詰めた情熱が、のちに市場を根底から揺るがす大発明へと結実した。