志村けんさんの家族構成は、小学校の教頭を務めた厳格な父・憲司さん、明るく芸者肌な一面も持っていた母・和子さん、そして男ばかりの3人兄弟から成る5人家族でした。三男である志村けんさんの上に、2人の兄が存在します。
長男が志村知之(ともゆき)さん、次男が志村美佐男(みさお)さんです。父の憲司さんは教育熱心かつ非常に厳格な人物で、食事中の私語すら許されない家庭環境でした。そうした厳格な家庭規範の中で育った長男の知之さんと次男の美佐男さんは、大学を卒業したのちに堅実な道を選び、公務員や社会インフラを支える職業に就きました。
特に長男の知之さんは、地元である東京都東村山市役所に奉職。産業振興課などの要職を歴任し、地域経済の発展に尽力しました。一方、三男の康徳少年(後の志村けんさん)だけは大学進学を選ばず、高校卒業直前にザ・ドリフターズのリーダー・いかりや長介さんに弟子入りを直談判するという、家族の中で唯一「型破りな芸能の道」へと飛び込みました。堅実な行政マンとなった兄たちと、喜劇の頂点に上り詰めた弟。歩んだ道は対照的でありながら、東村山という郷土への深い愛情は兄弟全員に共通する根幹となっていました。