ヴィンテージバイク市場における価格高騰が止まらない中、なぜ多くのライダーが純粋な旧車ではなくCB1100の旧車仕様カスタムを選択するのか。その背景には、趣味性と実用性を両立させたいライダー心理と、SC65が持つ特異な基本設計があります。
1969年に登場した元祖ナナハン「CB750Four」や1980年代の伝説的レーサー「CB1100R」の実走個体は、オークション市場で300万〜600万円超のプレミアム価格で取引されるケースも珍しくありません。しかし、半世紀前の車体は高速道路を使った長距離走行や夏の渋滞路で常にオーバーヒートや電装系パンクの不安が付きまといます。
一方のCB1100は、1,140ccのトルクフルな空冷DOHC4気筒エンジンを搭載しながらも、電子制御フューエルインジェクション(PGM-FI)やABSを装備。ボタン一発で始動し、真夏のツーリングでも安定した走破性を発揮します。この「壊れない現代の信頼性」に、外観だけ往年のノスタルジーを纏わせる手法こそが、大人のライダーにとって最も合理的で贅沢な選択肢として定着した理由です。