事件によって最大の試練に直面した店舗現場は、どのような変貌を遂げたのでしょうか。一時期は「皿が回らない回転寿司など味気ない」「卓上の調味料を使うのが怖い」といった不安や不満が消費者の間に広がりました。これに対し、スシローが打ち出した回答がデジタル技術を駆使した新業態レーン「デジロー(デジタルスシロー)」の導入でした。
デジローとは、各ボックス席に大型のデジタルサイネージを設置し、画面上を仮想の寿司が次々と流れるシステムです。利用者は画面をタッチして寿司を注文でき、ゲーム感覚で注文を楽しめる仕掛けが施されています。実物の料理は専用の特急レーンで厨房から直結して届くため、他客の飛沫や接触のリスクは完全に遮断されました。
現場を訪れた顧客からは、「子供が大画面での演出に大喜びしている」「不特定多数が触れない安心感があり、以前よりも衛生的で落ち着いて食事できる」といった極めて好意的な評価が寄せられています。事件当初は「回転寿司文化の敗北」とも囁かれましたが、結果としてスシローは衛生上の安全確保とエンターテインメント性の再定義という二兎を追うことに成功し、顧客満足度の向上につなげました。