良介と桃子のすれ違いに日本中が一喜一憂してから幾星霜。主演の明石家さんまは、今もお笑い界の頂点に君臨しながら、劇場映画のプロデュースや舞台出演など表現の幅を広げ続けている。一方、神崎桃子役を熱演した大竹しのぶは、日本を代表する大女優として演劇界・映画界の主要な賞を総なめにし、圧巻の演技力で観客を魅了し続ける。
当時の現場は、まさにアドリブと計算された演出の戦場だった。鎌田敏夫の緻密な脚本をベースにしつつも、明石家さんまと大竹しのぶの掛け合いは予定調和を激しく拒絶。カメラが回る直前まで仕掛け合いが続き、カットがかかった後もスタジオには異様な緊張感と笑いが同居していたという。のちに現実の結婚へと至る二人の化学反応は、すでにこの撮影現場で運命的な熱量を帯びていた。
貞九郎を演じた片岡鶴太郎は、俳優業のみならず画家や書家、プロボクサー、ヨガ実践家として独自の境地を開拓。美和役の岩崎宏美は、圧倒的な歌唱力で今も全国ツアーを成功させながら、豊かな人間味を歌声に滲ませる。手塚理美、山下真司、岡安由美子らもそれぞれの道を歩み、円熟味を増した存在感を示している。