鬼から電話は本当にトラウマになるのか?専門家が暴く恐怖しつけの弊害

鬼から電話は本当にトラウマになるのか?専門家が暴く恐怖しつけの弊害

鬼から電話は本当にトラウマになるのか?専門家が暴く恐怖しつけの弊害の疑問点について、専門知識を詳しくお届けします。

鬼から電話を見せた直後、子供が狂乱状態に陥って泣き叫ぶ姿を目の当たりにして、「一生消えないトラウマになるのではないか」と恐怖を覚える保護者は少なくありません。この鬼から電話のトラウマ疑惑について、小児精神保健や臨床心理学の現場ではどのような見解が示されているのでしょうか。

子供の脳発達の観点から見ると、強烈な恐怖に直面した幼少期の脳内では、ストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌されます。扁桃体が過剰興奮を起こすと、逃走か闘争か(Fight or Flight)の選択肢を奪われた幼い子供は、防衛反応として「凍りつき(Freeze)」状態に陥ります。言うことを聞いたように見えるのは、納得して行動を改めたのではなく、脳の防衛本能によって精神が麻痺した結果の服従に過ぎません。

継続的な利用による鬼から電話の悪影響として、臨床心理士や小児科医が警鐘を鳴らす具体的な心理的影響は主に以下の3点に集約されます。

  • 全般性不安と退行現象:鬼がいつ現れるかわからないという予期不安から、爪噛み、指しゃぶり、頻尿やおもらしなど、発達の後退現象が現れる。
  • 睡眠障害と夜驚症:睡眠中に恐怖体験がフラッシュバックし、夜中に突然起き上がって悲鳴を上げ続ける夜驚症や悪夢の引き金となる。
  • 親への愛着形成(アタッチメント)の毀損:恐怖から守ってくれるはずの「安全基地」である親が、自分を恐怖に突き落とす黒幕であると無意識に認識し、情緒的な基本的信頼感が揺らぐ。

「単発で1、2回見せた程度であれば、その後の丁寧なスキンシップと安心感の提供によって修復可能であり、直ちに不可逆な心的外傷後ストレス障害(PTSD)に直結するわけではない」と専門家は説明します。しかし、日常のしつけの道具として習慣化し、子供の逃げ場を塞ぐような形で使い続けた場合、その恐怖体験は自己肯定感の低下や対人不安という形で、長期にわたり子供の精神発達に暗い影を落とす恐れがあるのです。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。