台詞とセットで記憶されるのが、右手を伸ばしてカメラ越しに観客を指差すあのポーズだ。この「人差し指ポーズ」の起源を辿ると、アニメのアイキャッチ演出と声優陣のステージパフォーマンスに突き当たる。
初期のテレビアニメにおいて、CM前後に挿入される扉の開閉アイキャッチや、イベントの舞台挨拶で高山みなみ氏が客席に向けて「真実はいつも!」と叫び、観客が「ひとつ!」と指を突き出して返すコール&レスポンスが定着。これがアニメーターたちの作画にフィードバックされ、やがて本編や映画のビジュアルポスターにも逆輸入された。ファンとキャスト、制作スタッフが三位一体となって育んだシンボルポーズなのだ。
さらに興味深いのが、海外市場における英語表現の変遷だ。欧米圏で『Case Closed』のタイトルで展開されたアニメ版において、直訳である「There is only one truth!」ではなく、主に採用されたのは「One truth prevails!」というフレーズだった。
動詞「prevail」には「打ち勝つ」「勝利を収める」「困難を乗り越えて広く行き渡る」という意味合いがある。巧妙なトリックで覆い隠され、時に権力や暴力によって歪められそうになる過酷な事件現場において、どんなに偽りの証拠が並べ立てられようとも、「たったひとつの真実が最終的に必ず勝利する」という強い正義のテーゼを宿している。この翻訳の完成度に対し、米国のRedditをはじめとする海外コミュニティでも「原作のニュアンスをよりドラマチックに高めた傑作ローカライズ」として称賛を集めている。