四国・愛媛の観光名所といえば、松山市の道後温泉やしまなみ海道の絶景サイクリングが真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、観光動態データを精査すると、今治市郊外の朝倉地区にある「タオル美術館」が、家族連れやカップル、女子旅、シニア層に至るまで幅広い客層から常に高い満足度を獲得している実態が浮かび上がってきます。
その原動力となっているのが、運営母体である一広株式会社(ICHIHIRO)のものづくりへの情熱と空間演出力です。1971年に織機わずか6台から創業した同社は、独自の技術革新とブランディングによって日本屈指のタオルメーカーへと成長を遂げました。公式発表資料や企業沿革が示すように、「日常の実用品であるタオルを、人を感動させるアートの領域へ昇華させたい」という創業者の強い理念のもと、2000年にオープンしたのがこのタオル美術館です。
館内に一歩足を踏み入れると、糸を紡ぐ壮大な実機ラインから、カラフルな綿の巨大オブジェ、職人の手仕事によって織り上げられた繊細なタペストリーに至るまで、視覚と触覚を刺激する展示が連続します。ただ製品を並べる「ショールーム」ではなく、製造工程のリアルな息遣いと芸術表現がシームレスに結びついた体験型空間であることが、来館者の心を掴んで離さない最大の理由です。