漫画やアニメのファンコミュニティで定期的に白熱するのが、竈門五条実在率をめぐる論争です。結論から言えば、フィクションにしか見えない強烈なインパクトを持つ苗字であっても、日本の家系史を紐解くとごく少数ながら実在しているケースが多々あります。
例えば社会現象を巻き起こした『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎の「竈門」姓。名字由来netや日本家系図学会などの調査記録によると、全国における実在人数はおよそ10人から30人程度と極めて希少ですが、れっきとした実在苗字です。福岡県太宰府市や兵庫県などにルーツを持ち、火の神を祀る竈門神社や、製塩・製鉄に携わった歴史的背景と結びついています。作者の吾峠呼世晴氏が炭焼きの家系という設定を構築するにあたり、民俗学的ルーツを綿密にリサーチしていた証左と言えます。
一方、『呪術廻戦』の最強呪術師・五条悟の「五条」姓は、全国でおよそ1,000人前後の実在が確認されています。京都の五条大路に由来し、菅原道真の後裔である公家・五条家に連なる名門の家柄です。作中で「菅原道真の子孫」という設定が明かされた際、SNSでは「歴史の文脈と苗字が完全に一致している」と大きな衝撃が走りました。
しかし、すべての印象的な名前が実在するわけではありません。同作に登場する「煉獄(れんごく)」は、仏教用語やカトリックの教義に由来する完全な造語であり、実在しないアニメ苗字の代表格です。『ジョジョの奇妙な冒険』の「空条」や『新世紀エヴァンゲリオン』の「惣流」なども、軍艦名や語感を組み合わせた純粋な創作苗字に分類されます。