Zot on the Waveの正体とは?名曲を生む天才の経歴と愛用機材

Zot on the Waveの正体とは?名曲を生む天才の経歴と愛用機材

Zot on the Waveの正体とは?名曲を生む天才の経歴と愛用機材とは一体何なのか? 詳しい意味を簡潔に解説します。

ZOT on the WAVEの楽曲を語る上で欠かせない象徴が、曲頭に挿入される「ZOT on the WAVE……」という妖艶な女性のささやき声、通称プロデューサー・タグです。ファンの間では「このタグを聴くだけで勝ち曲だと確信する」とまで言わしめるフレーズですが、このタグの声の主は一体誰なのでしょうか。

「有名女性シンガーの声ではないか」という憶測が流れた時期もありましたが、実際は海外のボイスサンプルサービスやプロ向けの発注プラットフォームを通じて特別に録音・制作された声素材であることが判明しています。欧米のトラッププロデューサーたちが自身の署名としてタグを打ち込むカルチャーを、極めて早い段階で自身のブランディングとして日本に定着させた先見の明の表れと言えます。

では、彼独自のビート作り方と愛用機材はどのような構成なのでしょうか。DTM(デスクトップミュージック)専門誌や制作現場のドキュメンタリーによると、彼の制作環境は驚くほどシンプルかつ機能的です。

彼が長年メインDAWとして絶大な信頼を寄せているのがFL Studioです。アメリカのトラップシーンでMetro BoominやMurda Beatzらが愛用することでも知られるDAWですが、ZOT on the WAVEもステップシーケンサーを用いた直感的なドラムプログラミングと、素早いサンプルチョップの利便性を活かし、1日に何曲ものスケッチを軽快に構築していきます。音源としては、重厚なパッドやベル音を奏でる「Spectrasonics Omnisphere」や「reFX Nexus」、エッジの効いたリードを作る「Xfer Records Serum」を多用。エフェクトにはFabFilterやSoundtoysのプラグインを巧みに噛ませ、独特の浮遊感とタイトな音像を両立させています。

彼のビートメイクにおける最大の神髄は、「足し算」ではなく「徹底的な引き算」にあります。凡庸なビートメイカーが音数を詰め込んでトラックを過密にしがちなのに対し、ZOT on the WAVEはラッパーの言葉が入るスペース(中音域の帯域)をあらかじめ大胆に空けておきます。そして、低音の要である808ベースとキックの位相を完璧に揃え、クラブの大音量でもスマートフォンのスピーカーでも輪郭が崩れない驚異的な音圧バランスを作り出しているのです。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。