サンダーボルトを語る上で絶対に欠かせない要素、それが音楽家・菊地成孔による劇中音楽だ。イオが戦闘時にコックピット内で鳴らし続ける即興フリージャズは、兵器の破壊音やビームの発射音と見事に不協和音を奏で、戦闘シーンそのものをカオスなアートへと昇華させている。
ダリルが愛聴する哀愁漂うアメリカン・オールディーズのポップスと、イオの激しいジャズ。この二つの対比が、互いの孤独と狂気をより一層際立たせる。菊地が手掛けたサウンドトラックは単なるBGMの枠を超え、登場人物の感情の昂ぶりや戦場の狂気を代弁する「もう一人の主人公」として機能しているのだ。