VT250Fが族車・旧車會仕様として他を圧する最大の理由、それは他車種では絶対に真似できない「排気音」にある。90度Vツインエンジンが生み出す不均等爆発と、超高回転域まで一気に吹き上がるレスポンス。これらが合わさったとき、空冷4発の重低音とはまったく異なる、切り裂くようなハイトーンボイスが誕生する。
直管マフラーの歴史を紐解くと、かつての走り屋やカスタムショップたちが試行錯誤を重ねた足跡が浮かび上がる。元来、ホンダの純正マフラーは静粛性と環境性能を徹底追求したものだった。しかし、サイレンサーを抜き取り、エキゾーストパイプの長さを切り詰め、さらにはメガホン構造や自作バッフルを組み込むことで、Vツイン特有の甲高さを極限まで増幅させるカスタムテクニックが確立されていった。
アクセルを細かく煽る「コール」において、VT250Fの水冷Vツインは抜群の切れ味を見せる。回転の落ち込みが非常に速いため、手首のリズムがダイレクトに音の途切れと繋がりに反映されるのだ。高音のキレと独特のビート感——これこそが、往年の暴走族達を唸らせ、現代のコール職人たちを虜にしてやまない爆音の正体である。