ブームの爆発的な火付け役となったのが、実写ドラマ『みやこ食堂』の存在だ。企画の立ち上げ当初、テレビ東京とキー局のタッグによる制作委員会は、原作が持つ独特な情緒と昭和レトロな雰囲気をいかに映像化するかで難航していたという。そこで白羽の矢が立ったのが、リアルな人間描写で定評のある気鋭の映画監督だった。
撮影現場への密着取材で見えてきたのは、妥協を一切許さない圧倒的なこだわりだ。監督は「湯気ひとつ、包丁がまな板を叩く音ひとつにも感情が宿る」と語り、実際の店舗で深夜まで及ぶロケを敢行。店主の細かな手つきや仕込みの所作を忠実に再現するため、キャストとスタッフが一丸となって厨房に張り付いた。その徹底したリアリティ追及の真相こそが、視聴者の心を揺さぶる映像美へと昇華したのだ。