胃がんの手術では、病変の位置や進行度に応じて胃の3分の2程度を切除する「幽門側胃切除」「噴門側胃切除」、あるいは胃をすべて摘出する「胃全摘術」が行われます。いずれの術式であっても、胃の容積が大幅に小さくなるため、一度に多くの食べ物を受け止めることができなくなります。
胃の運動機能や胃酸の分泌が減少すると、食べ物が十分にすり潰されないまま直接小腸へ流れ込むため、小腸に過度な負担がかかります。これが胃切除後障害予防法を学ぶ上で避けて通れない生理学的背景です。特に退院直後から数か月間は、消化管が新しい構造に適応しようとしているデリケートな移行期にあたります。
医療関係者の食事指導ガイドラインでも強調されている通り、消化の主役が「胃」から「口(咀嚼)」へと移行します。ひと口あたり30回以上よく噛むことで唾液中の消化酵素をしっかり絡ませ、物理的に細かく砕いてから飲み込む習慣が、何よりの消化薬代わりとなります。