透析液の交換作業において最も重視されるのは「無菌操作」の徹底です。指先や空気中の浮遊菌がカテーテルの接続部に触れると、腹腔内に細菌が侵入して腹膜炎を引き起こすリスクがあります。臨床現場で指導される標準的な手順書に沿って、具体的な交換フローを確認します。
手動で行うCAPDの透析液交換手順
CAPDのバッグ交換は、「排液」「注液」「密閉」という3つのステップで進行します。所要時間は準備を含めて約30分です。
1. 環境整備と衛生準備:
窓を閉めてエアコンや換気扇を止め、風が立たない環境を作ります。テーブルの上を消毒用エタノールで清拭し、マスクを着用した上で、爪の間や手首まで流水と石鹸で入念に手を洗います。
2. 接続器具のセッティング:
新しい透析液バッグ(注入用)と空の排液バッグが一体になった「ツインバッグ」を準備します。現在普及しているシステムでは、接続部に紫外線(UV)を照射して瞬時に殺菌する専用のつなぎ器を使用するため、接触感染のリスクは大幅に低減されています。
3. 排液ステップ(約10〜15分):
腹腔内に溜まっていた古い透析液を重力で自然に排液バッグへと落とします。排液が終了したら、チューブのクランプを閉めます。
4. ルートのフラッシュ(洗浄):
新しい透析液のラインから数秒間だけ排液側へ液を流し込み、回路内の空気と万が一の微細な塵を排液バッグへ押し流します。
5. 注液ステップ(約10分):
新しい透析液を腹腔内へ注入します。注入が完了したらカテーテルを専用の保護キャップで確実に密閉し、衣服の内側に固定します。
全自動で行うAPDのやり方と機器セッティング
APDは就寝前の約15〜20分でセッティングを完了させます。
専用サイクラーの電源を入れ、指示に従って透析液バッグをセットし、使い捨ての回路チューブを装着します。自動プライミング(チューブ内の空気抜き)が行われた後、清潔手洗いを経て自身のカテーテルと装置のチューブを接続します。設定したプログラムに従って夜間に自動で透析が行われ、起床後は接続を外して出口部を整えるだけで1日の治療が完了します。