現金を包む際、紙幣のコンディション選びは極めて重要なメッセージ性を帯びます。新札と旧札の使い分けマナーを正しく把握することは、大人の嗜みとして不可欠です。
結婚祝いをはじめとする慶事では、折り目のない「新札(ピン札)」を用いるのが絶対のルールです。これには「あなたのために前もって銀行へ行き、きれいなお札を用意して慶びの日を心待ちにしていました」という誠意が込められています。2024年7月に発行された新紙幣(一万円札:渋沢栄一、五千円札:津田梅子、千円札:北里柴三郎)が市中に完全浸透した現在でも、ピン札を揃えるという精神はまったく変わりません。
一方で、香典などの弔事では、新札を使うことはタブー視されてきました。「不幸が起きることを前もって予期し、新札を用意して待っていた」という不謹慎なニュアンスを与えてしまうためです。もし手元に新札しかない場合は、意図的に紙幣の中央を一度指で二つ折りにし、折り目をつけてから包むのが古くからの知恵です。
判断に迷いやすいのが、怪我や病気に対するお見舞い 封筒 お札の向きと紙幣の状態です。病気見舞いは「回復を祈る」という意味でお祝いごとに近いため、お札の向きは慶事と同様に「肖像画が表かつ上」にします。しかし、紙幣自体は新札を避けるのが礼儀です。真新しいお札を使うと「病気や入院を予期して準備していた」と受け取られかねないため、シワや破れのない、ある程度使用感のあるきれいな流通紙幣(準新札)を選ぶのが賢明な対応です。