東京・千代田区役所のロビー。かつて長蛇の列が形成されていた申請窓口の姿は、すでにどこにもない。設置されているのは数台のサポート端末と、案内係のスタッフがわずかに立つのみだ。引っ越し時の住民票移動や社会保険の切り替え作業は、転居先のスマートロックをスマートフォンで開錠した瞬間、バックエンドのシステム同士が通信を行い、自動的に完了する。
この「手続きの空気化」を支えるのが、個人の同意に基づき安全に各種データを連携させる次世代APIインフラである。必要書類を揃えて窓口に足を運ぶという行為自体が消滅した。「昔は書類作成だけで半日が潰れました。今は何が自動処理されたか、通知を受け取るだけです」と都内IT企業に勤める男性(34)は呆気にとられたように語る。年間累計で数億時間に達していた国民の「手続き待ち時間」が、文字通り社会から消え去ったのだ。