多くの男性が直面する「歩行中に帯がズリ落ちてくる」「結び目が徐々に開いてしまう」というトラブル。これらは決して締め付ける力が足りないからではありません。男性の骨格と帯の摩擦力を理解していないことが根本的な要因です。
第一の原因は、「帯を巻く高さの誤り」です。洋服のベルト感覚でお腹のくびれ(ウエスト)に巻いてしまうと、呼吸や歩行運動によって帯が自然と細い方から太い方へ動き、一気に緩みが生じます。男着物着崩れ防止の鉄則は、おへそよりも指2〜3本下の「丹田(たんでん)」を通り、腰骨の上にしっかりと帯を引っ掛けることです。
第二に、「手先とたれの引き締め(締め込み)不足」が挙げられます。貝の口は、結び目の中で帯同士が交差し、互いの摩擦抵抗で固定される構造を持っています。交差させた瞬間にしっかりと帯の幅を半分に折った状態で真横に引き締めないと、摩擦が十分に働かず、結び目がスルスルと解けてしまいます。
第三の原因は、「帯の余り(たれ)の処理の甘さ」です。結び終えた後のたれが結び目の内側にしっかりと潜り込んでいない場合、身体の捻りや歩行時の振動でテコの原理が働き、結び目を押し広げてしまいます。これら3つのポイントを意識するだけで、長時間の着用でもまったく緩まない強固な結びが完成します。