改札を抜けた利用者を迎えるのは、駅の西口と東口からそれぞれ伸びる巨大な商店街です。元住吉の生活文化の心臓部であり、住民が「この街から離れられない」と口を揃える最大の要因がここにあります。
西口に伸びるモトスミ・ブレーメン通り商店街は、全長約550メートルにわたって約180店舗がひしめく関東屈指の元気な商店街です。ドイツ・ブレーメン市にある商店街と友好提携を結んでおり、電柱の地中化やコミュニティホールの整備、独自の地域通貨・ポイント施策など先進的なタウンマネジメントが展開されてきました。青果店、精肉店、個人経営の鮮魚店からドラッグストア、カルディコーヒーファームのような輸入食品店までが揃い、価格競争が健全に働いているため日常の食費を大幅に抑えられます。
一方、東口のモトスミ・オズ通り商店街は、全長約350メートルに約80店舗が連なる親しみやすい通りです。駅前から綱島街道を越えて広がり、慶應義塾大学グラウンドや住吉神社方面へ抜ける生活導線上に位置しています。個人経営の居酒屋やベーカリー、落ち着いたカフェが点在し、夕方以降は仕事帰りの会社員や学生で温かな賑わいを見せます。
現地を歩いて印象的なのは、チェーン店ばかりに侵食されていない点です。昭和から続く惣菜屋の揚げたてコロッケの香り、地元ロースターが焙煎する珈琲の芳香、そして店主と常連客が言葉を交わす光景が日常の風景として息づいています。都市社会学において、治安の良さを担保する概念として「ストリートの目(歩行者や店主の自然な視線)」が知られていますが、元住吉の両商店街はまさにこの機能が極めて高い水準で維持されている典型例です。