単なる一時的な疲労であれば十分な睡眠と休養によって数日で元に戻りますが、数週間にわたって瞳の光が戻らない場合、精神医学的な疾患が進行しているリスクを考慮しなければなりません。特にうつ病と目つきの変化には極めて密接な相関があります。
精神科の診察現場において、熟練の医師は問診票の内容だけでなく、患者が診察室に入ってきた瞬間の「視線の重さ」や「目つき」を極めて重視します。うつ状態に陥ると、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの分泌が著しく低下し、意欲や関心が減退します。その結果、外界の情報を積極的に取り込もうとする本能的な衝動が薄れ、視覚的なアプローチそのものが停止したような、濁った印象の目つきへと変化します。いわゆる「仮面うつ病」のように、口元では愛想笑いを浮かべていても目元が完全に静止している状態は、典型的な臨床サインの一つです。
また、自律神経失調症と目の輝きも直結しています。毛細血管の血流調整や瞳孔の開閉、涙腺からの分泌はすべて自律神経がコントロールしています。慢性的な緊張によって交感神経が過剰に優位な状態が続くと、涙の分泌量が減少してドライアイが悪化するだけでなく、毛様体筋が過緊張に陥り、瞳の表情が険しく強張ります。逆に疲弊しきって副交感神経すら正常に機能しなくなると、全体的な脱力状態に陥り、生気のない「死んだ魚のような目」が固定化されてしまうのです。