戦時下における人間の行為には、超えてはならない明確な線引きが存在する。国際法、とりわけジュネーヴ条約を中心とする国際人道法の体系は、武力紛争の惨禍から不必要な犠牲を防ぎ、人道的な最低限のルールを保障するために築かれてきた。ここで規定される「戦争犯罪」とは、国家の主権行為として行われた暴力であっても、過度の残酷さや非戦闘員への無差別攻撃を伴う場合、個人の刑事責任を直接問うという画期的な法思想に基づいている。
法学の観点において、個人の国家への服従と、個人の道義的・法的責任のバランスは長年議論されてきた。戦犯の概念は決して感情的な復讐の口実ではない。むしろ戦火の混乱においてもなお、人間の 理性を留め置くための「法的砦」として設計されたものだったのだ。戦時下での残虐行為が法廷で厳粛に裁かれる仕組みは、近代社会が到達した重要な法秩序の一つである。