辛口コメンテーターとして確固たる知名度を誇るドン小西ですが、彼の本名は「小西良幸(こにし よしゆき)」です。三重県津市の裕福な呉服・繊維商の家系に生まれ、幼少期から上質な織物や反物に囲まれて育ちました。
では、なぜ本名ではなく「ドン小西」というインパクト抜群の芸名を名乗るようになったのでしょうか。その発端は、彼が自身のコレクションブランドで頂点を極めていた1980年代後半から1990年代初頭のバブル期に遡ります。
当時、世界的なファッションデザイナーとして脚光を浴びていた小西氏は、葉巻をくゆらせ、派手な毛皮や原色スーツを身にまとい、夜の六本木や銀座を闊歩していました。そのあまりに威圧的で豪快な立ち振る舞い、そして周囲を圧倒するビッグマウスを見た親交の深いテレビ業界関係者やアパレル関係者から、映画『ゴッドファーザー』の首領を指す尊称になぞらえて「まるでマフィアのドンだな」と囁かれ始めたのが直接のきっかけです。
その後、バラエティ番組へ本格進出するにあたり、視聴者に一瞬で強烈なキャラクターを印象付けるため、正式に「ドン小西」を名乗るようになりました。本人は後年の自著や回想録の中で、「最初は気恥ずかしさもあったが、一度聞いたら誰もが忘れない最高の商標になった」と述懐しています。単なる思いつきのニックネームではなく、自らのパブリックイメージを計算し尽くしたセルフブランディングの傑作と言えます。