沖ノ鳥島を巡る法的な争点は、1982年に採択された国連海洋法条約(UNCLOS)第121条の解釈にあります。同条文では「島」と「岩」の定義について次のように規定されています。
条約第121条1項では、島を「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」と定義しています。沖ノ鳥島は東小島と北小島の2つの小島が、大潮の満潮時であっても海面上に約6センチ〜16センチ露出しており、自然の陸地であるためこの要件を完全に満たしています。
しかし、火種となっているのが同条第3項の規定です。「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない」と記されています。中国や韓国はこの条文を根拠に、「自給自足の生活が成り立たない沖ノ鳥島は『岩』であり、領海(12海里)は持てても、EEZ(200海里)や大陸棚は認められない」と主張しています。
これに対し、日本政府の外務省および海上保安庁の一貫した立場は、「条約起草時の経緯に照らし、第121条3項は居住が不可能な孤立した突岩などを想定したものであり、沖ノ鳥島のように広大な環礁を伴う自然地形は完全な島である」という法解釈です。さらに、後天的な浸食を防ぐための護岸工事は国際法上禁止されておらず、陸地の現状維持を目的とした正当な主権行使であると反論しています。