節分の豆まきを行う時間帯について、昼間にイベント感覚で行う家庭も見受けられるが、本来の作法において正解は「完全に日が沈んだ夜」である。
陰陽道や古くからの伝承において、鬼や魑魅魍魉(ちみもうりょう)は「丑寅(うしとら)の刻(深夜1時〜3時頃)」、すなわち闇が深まる夜間に活動するとされてきた。太陽が沈み、闇が満ちる時間帯こそが邪気払いの本番であり、家族全員が揃いやすい夕食後の時間帯に行うのが理にかなっている。
また、「誰が豆を投げるのか」についても古来の明確な役割分担がある。
- 一家の家長(主):家庭の守護者として、家全体の邪気を払う責任を持つ。
- 年男・年女(その年の干支生まれ):その年の神様(歳徳神)の加護を最も強く受けており、強い生命力と幸運を持つとされる。
- 厄年の人:自らの厄を豆とともに外へ放ち、祓い清める意味を持つ。
もちろん現代では、家族全員で交代しながら楽しく豆を撒くスタイルが一般的だが、本来はこうした「強い力を持つ代表者」が先陣を切る儀礼であったことを知っておくと、行事の重みが一段と増す。