飯能の名湯「さわらびの湯」が年間を通じて多くの人々を惹きつけてやまない理由は、単なる入浴施設にとどまらない「奥武蔵の自然体験との完全な調和」にあります。
最大の要因は、首都圏屈指の絶景登山ルートとして知られる「棒ノ嶺(棒ノ折山・標高969m)」の登山口・下山口と直結している点です。白谷沢の美しいゴルジュ(岩壁に挟まれた狭い谷)を遡行し、山頂から関東平野の絶景を堪能して下山したルートの終着点が、まさにこのさわらびの湯。汗と泥を流し、疲弊した筋肉を良質な温泉で解きほぐすという「登山と温泉の黄金リレー」が、関東のアウトドア愛好家の間で完全に定着しています。
館内に入ると、江戸時代から名高い地元飯能の銘木「西川材」のスギやヒノキが惜しみなく使われており、清々しい木の香りが漂います。大浴場に設えられた西川材の檜風呂に浸かると、木肌の柔らかな感触と無色透明のまろやかな湯が体を包み込みます。さらに露天風呂からは名栗の稜線と澄み渡る空が広がり、日常の喧騒を一瞬で忘れさせる開放感を放ちます。
歩いて数分の場所には名栗湖と有間ダムが広がり、湖畔の静けさやカヌー体験を満喫できる観光拠点でもあります。さらに、人気アニメ『ヤマノススメ』で主人公たちが登山帰りに立ち寄った舞台としても知られ、作品のファンが訪れる聖地巡礼地としての文化的な求心力も併せ持っています。