佐野岳という俳優を語る上で外せないのが、並外れた身体能力の高さです。2011年の第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞した当時からアクロバットやサッカーで鍛え上げた肉体美を誇っていましたが、その才能が爆発したのが『仮面ライダー鎧武/ガイム』(2013〜2014年)の現場でした。
主人公・葛葉紘汰が仮面ライダーガイムへ変身する際に見せるダイナミックなステップや身のこなしはもちろん、劇中の生身アクションシーンにおいて、佐野は壁を駆け上がるパルクールや鮮やかなバク転をほぼすべてノー吹き替え(スタントなし)で実演。現場関係者の証言によると、あまりの身軽さとスピードに、歴代ライダーのスーツアクターを務めてきたレジェンド・高岩成二氏をはじめとするJAE(ジャパンアクションエンタープライズ)のスタント陣が「自分の出番がなくなる」と驚嘆と苦笑いを浮かべたという逸話が残っています。
当時の特番インタビューやメイキング映像でも、高さのあるフェンスを一瞬で飛び越えたり、宙返りからの着地をピタリと決めたりする姿が克明に記録されています。単なる「アイドルの登竜門」にとどまらず、本物のアクションを追求した佐野の気迫が、作品の骨太な世界観を力強く牽引しました。