ネット上のまとめ記事などでは「崩れないようにアメピンを十字に留めましょう」「ピンを多めに打つのがコツ」といったアドバイスが散見されます。しかし、毛髪工学およびサロンワークの視点から見ると、これは明確な誤解であり逆効果です。
ピンを過剰に留めると、頭皮の一点に強いテンションがかかり、血行不良や頭痛を引き起こすだけでなく、髪束同士が押し合って逆に反発力が生じます。その結果、少し首を振っただけでもピンが浮き上がり、連鎖的にヘアスタイル全体が崩れる現象が発生します。プロが作るスタイルが崩れないのは、ピンの数が多いからではなく、「1本のピンを的確にゴムの芯へ噛み合わせているから」に他なりません。
また、「ミディアムヘアは長さが足りないからアップスタイルは無理」という思い込みも事実とは異なります。首元がすっきり見えるアップスタイルは、髪の長さではなく「毛束の分割設計」によって決まります。後頭部を上・中・下の3ブロックに分けてそれぞれをゴムで留め、毛先を隣り合う結び目に巻き込んでいく技法を用いれば、ボブに近い短めのミディアムであっても、美しい夜会巻き風アップやシニヨンが十分に成立します。