多くの家庭で長年親しまれてきた「たっぷりのお湯で茹でる」調理法には、実は味の面で大きなデメリットが存在します。とうもろこしの甘みの主成分であるショ糖や果糖、グルコース、そして旨味を構成するグルタミン酸は、いずれも水に溶け出しやすい水溶性成分です。熱湯の中で泳がせるようにグラグラと茹でると、これらの栄養・旨味成分の約20〜30%が茹で汁側へ流出してしまいます。
さらに、茹でる工程ではとうもろこしの薄い細胞膜から水分が過剰に侵入し、食べたときに「水っぽさ」が前面に出てしまいます。対して蒸気加熱(スチーム)は、気体となった高温の水分がとうもろこしの表面を包み込み、粒自体の水分を逃さずに内部のデンプンを均一に糊化(アルファ化)させます。水と直接接触しないため旨味の流出がほぼゼロに抑えられ、一粒一粒に濃厚な甘さが凝縮されるのです。
食感の面でも、蒸す手法は粒の皮(果皮)を適度に引き締め、弾力のある歯ごたえを生み出します。咀嚼した瞬間にプチンと皮が破れ、濃厚な果汁が口いっぱいに広がる体験は、蒸し調理ならではの明確なアドバンテージと言えます。