結論から明かすと、「お会いになる」と「お目にかかる」はどちらかが正しくてどちらかが間違いという関係ではありません。「誰が会うのか(主語が誰か)」によって正解が180度入れ替わるのが言語学的な真相です。
ビジネスメールや商談の場で最も頻発する誤用が、相手の行動に対して謙譲語を使ってしまうパターンです。例えば、取引先の社長に対して「明日は何時に私とお目にかかりますか?」と尋ねてしまうミスがこれに該当します。「お目にかかる」は自分側の行動をへりくだって相手に敬意を示す「謙譲語」であるため、相手の行為に用いると、相手を自分より低い立場に置く失礼な言い回しになってしまいます。
逆に、自分が相手に会いに行く場面で「明日は私が貴社へお会いになりに伺います」と言うのも明らかな誤りです。「お会いになる」は相手を立てる「尊敬語」であるため、自分の動作を勝手に高めてしまうことになります。
敬語の正しい使い分けに迷ったときは、常に「そのアクションを起こす主語は誰か」を頭の中で指さし確認することが最大の防御策となります。相手が会うなら「お会いになる」、自分が会うなら「お目にかかる」。この境界線を明確に引くことが、ビジネスコミュニケーションにおける第一歩です。