ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「初穂料に関するマナー」について様々な説が飛び交い、読者を迷わせています。現場の神職への取材や典礼の歴史から確認できる、誤解しやすい3つのポイントを整理しました。
新札を用意すべき理由とお札の向き
「新札はお祝い事に使うものだから、厄を払う儀式には古札を使うべきでは?」という俗説がありますが、これは明確な誤りです。葬儀などの弔事では「あらかじめ不幸を予期して用意していた」と受け取られないよう折り目のついた旧札を使いますが、神仏への奉納はまったく逆の文脈を持ちます。
神道において初穂料とは、かつてその年に収穫された最も清らかな「初穂(稲穂)」を神前に捧げた儀礼に由来します。したがって、現代における通貨であっても「汚れのない最も清浄な状態のお金=新札・ピン札」を捧げるのが最高の礼儀です。手元に新札がない場合は、できる限りシワや汚れの少ない綺麗なお札を選び、アイロンを軽く当てて整えるだけでも誠意が伝わります。お札を入れる向きは、中袋の表側に対して肖像画が上・表を向くように揃えて納めます。
金額の偶数・奇数と忌み数
慶事では「割り切れない奇数(3万、5万)」、弔事でも奇数が重んじられますが、厄払いの初穂料において偶数はタブーなのでしょうか。結論から言えば、20,000円などの偶数になっても問題ありません。実際に初穂料の規定額として2万円や3万円を設定している神社は全国に多数存在します。
ただし、「死」を連想させる4や、「苦」を連想させる9がつく金額(4,000円、9,000円など)は縁起担ぎの観点から意図して避けられます。基本は5,000円、7,000円、10,000円、20,000円といった区切りの良い数字を選択するのが適切です。
「初穂料」と「玉串料」の違い
のし袋の表書きで「御初穂料」と「御玉串料」のどちらを書くべきか悩むケースがあります。厳密には以下のような由来の違いがあります。
- 初穂料(はつほりょう):農作物の初収穫を捧げたことに由来。お宮参り、七五三、厄払い、安産祈願、交通安全など、一般的なご祈祷やお祓い全般に広く使える万能の表書き。
- 玉串料(たまぐしりょう):榊(さかき)の枝に紙垂をつけた「玉串」の代わりに金銭を納める意味。祈祷全般のほか、地鎮祭や神葬祭(神道のお葬式)などでも使われる。
お寺ではなく神社で厄払いを受ける場合、表書きは「御初穂料」としておくのが最も標準的で間違いがありません。