夕木春央の正体と衝撃の真相|『方舟』『地雷グリコ』徹底解剖

夕木春央の正体と衝撃の真相|『方舟』『地雷グリコ』徹底解剖

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夕木春央は1993年生まれ。その筆名が公に広く知れ渡る契機となったのは、2019年に『絞首商會』で第60回メフィスト賞を受賞したことでした。メフィスト賞といえば、これまでにも既存のミステリの枠組みを破壊する怪作・奇作を多数世に送り出してきた登竜門ですが、夕木春央のデビューアプローチはむしろ極めてクラシカルで硬質な本格ミステリでした。

受賞作『絞首商會』、そして続く『サーカスから来た執達吏』(2021年)では、大正時代の帝都・東京を舞台に設定。当時の風俗や陰謀、入り組んだ利害関係を背景に、緻密なアリバイ崩しと純度の高い論理パズルを展開しました。書評家や熱心なミステリ愛好家の間では「新時代に現れた本格の正統派後継者」として早くから注視されていたものの、一般的な知名度という点では、まだコアな読書層の内側に留まっていたのが実情です。

状況を一変させたのが、2022年9月に講談社から刊行された『方舟』でした。閉鎖空間(クローズドサークル)に閉じ込められた男女が直面する極限の倫理的ジレンマを描いたこの作品は、発売直後からSNS上で「絶対にネタバレを見ずに読め」「最後の一撃で頭を殴られた」と爆発的な反響を呼び、各年間ミステリランキングの上位を独占。一躍トップランナーへと躍り出ることになります。

さらに2023年11月刊行の『地雷グリコ』(KADOKAWA)では、従来の重厚なサスペンスから一転、女子高生を主人公に据えた痛快な頭脳バトルを描き、第77回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)、第24回本格ミステリ大賞(小説部門)、第37回山本周五郎賞を受賞。文学賞レースにおける主要3冠を制覇するという快挙を成し遂げました。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。