毛嚢炎の主因となる黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌は、健康な皮膚にも常に存在する常在菌です。通常であれば皮膚表面の弱酸性バリアや皮脂膜によって増殖が抑えられていますが、ある特定の物理的刺激や免疫低下が引き金となり、毛包内部で爆発的に増殖します。
発症を招く代表的な原因は以下の4点に集約されます。
第一に「物理的な皮膚バリアの損傷」です。切れ味の落ちたカミソリによるシェービング、毛抜きによる無理な脱毛、ナイロンタオルによる過剰な摩擦は角質層を削り取り、細菌の侵入口を無数に作ります。
第二に「医療レーザー脱毛や光脱毛(IPL)の熱刺激」です。脱毛照射時の熱エネルギーによって一時的に毛包周辺が軽度の熱傷状態となり、局所の皮膚免疫バリアが数日間にわたって著しく低下します。臨床現場のデータでも、脱毛施術後2〜3日以内に発症するトラブルの第1位が毛嚢炎です。
第三に「高温多湿と長時間の密閉環境」が挙げられます。デスクワークによる臀部(おしり)の圧迫、通気性の低い化学繊維下着の着用、運動後の汗の放置は、菌の増殖に最適な湿潤環境を作り出します。
第四に「局所免疫の低下とステロイド外用薬の長期連用」です。湿疹やかぶれの治療でステロイド軟膏を漫然と使い続けると、塗布部位の免疫細胞の働きが抑制され、常在細菌や真菌の異常増殖を許してしまいます。