国境の島として名高い対馬市ですが、メディアで報じられる華やかな旅情とは対照的に、島内では構造的な危機が静かに、かつ深刻に進行しています。長崎県や対馬市役所が公表している住民基本台帳に基づく統計資料を確認すると、対馬市人口推移現在の数値はピーク時(1960年の約7万人)から半数以下となる約2万6,000人前後まで落ち込んでいます。高齢化率は40%超に達し、集落機能の維持そのものが脅かされる限界集落が島内各地で増加の一途をたどっています。
島の生態系を守る現場でも切迫した状況が続いています。国の天然記念物であり、環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されている「ツシマヤマネコ」は、生息数が推定100頭前後と依然として危機的状況にあります。環境省対馬野生生物保護センターを中心としたツシマヤマネコ保護の取り組みが続けられているものの、道路上での輪禍(ロードキル)や森林伐採、イノシシ捕獲用罠への誤捕獲など、人間活動との軋轢は解消されていません。
さらに、地域住民の生活圏と安全保障をめぐる問題も顕在化しています。防衛拠点としての自衛隊施設の重要性が増す一方で、海外資本による土地買収の動向や、海岸線に漂着する膨大な海洋プラスチックごみの処理費用など、対馬市最新ニュースの多くは地方自治体が単独で背負うにはあまりに重い国境特有の課題を浮き彫りにしています。観光地としての魅力の裏側に横たわるこうした構造的負荷こそ、対馬市が今まさに直面している「知られざる現状」の本質です。