アルツハイマー型認知症の発症原因として最も有力視されているのが「アミロイド・カスケード仮説」です。脳内に「アミロイドβ」と「タウ」という不要なタンパク質が異常に蓄積し、これらが神経細胞を傷つけて脱落させ、最終的に脳の萎縮を引き起こすと考えられています。重要なのは、アミロイドβの蓄積は実際の物忘れが始まる15〜20年以上前から静かに始まっているという点です。
一般的な進行速度は非常に緩やかで、発症から高度の介助が必要になるまで10〜15年程度の経過をたどることが一般的です。進行段階は大きく次のフェーズに分かれます。
・MCI(軽度認知障害):本人や周囲に記憶の衰えの自覚はあるが、日常生活は自立して送れているグレーゾーンの段階。
・初期(軽度):新しい記憶の定着が難しくなり、日時や場所の把握(見当識)が曖昧になり始める。
・中期(中等度):昔の記憶も薄れ、着替えや入浴などの日常生活動作に介助が必要になる。
・高度(重度):言葉による意思疎通が困難になり、身体機能の低下から寝たきりの状態へと移行する。
医療機関では、問診に加えて「長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」や「MMSE」、より軽微な変化を捉える「MoCA-J」などの認知機能テストを実施します。さらに頭部MRI・CTによる脳萎縮の確認や、PET検査、血液バイオマーカー検査を組み合わせることで、精度の高い早期確定診断が確立されています。