還暦の象徴として知られる「赤いちゃんちゃんこ」ですが、なぜ赤色の羽織を身につけるのか、その背景をご存じでしょうか。ここには東洋思想の根幹をなす「十干十二支(じっかんじゅうにし)」の巡りと、古代からの信仰が結びついています。
古代中国から伝わる干支は、10種の「十干(甲・乙・丙・丁…)」と12種の「十二支(子・丑・寅・卯…)」の組み合わせで構成され、最小公倍数である60年でちょうど1巡して生まれた年の干支に戻ります。これが「暦が還る=還暦」の語源です。つまり、60歳を迎えることは「もう一度赤ん坊に戻って人生を再スタートする」ことを意味します。
また、古来より赤色(特に天然鉱物の辰砂・朱砂に由来する朱赤)には「魔除け・厄除け」「無病息災」の強力な霊力があると信じられてきました。生まれたばかりの赤子に赤い産着(うぶぎ)やちゃんちゃんこを着せて邪気から守った風習を、60歳で生まれ直す際にも再現したのが発祥です。
しかし、近年のシニアライフの現場では意識の大きな変化が起きています。大手ギフト調査機関のアンケートによると、60歳を迎えたシニア層の約65%が「赤いちゃんちゃんこを着るのは年寄り扱いされているようで抵抗がある」と回答しています。現代の60歳は現役で精力的に働く方が多く、見た目も健康状態も若々しいためです。
そのため、現代の還暦祝いでは「赤」のシンボルカラーを取り入れつつ、実用性と洗練さを兼ね備えたアイテムへアップデートするのが主流です。
- 上質な赤のファッション小物:カシミヤストール、ネクタイ、ブランド財布、ルビー等のジュエリー
- 記念品・嗜好品:生まれた年のヴィンテージ赤ワイン、名入れのバカラグラス、高機能スマートウォッチ
- 体験型ギフト:温泉旅行券、ミシュラン星付きレストランでの食事会、家族写真のプロ撮影