1989年2月、写真週刊誌『FRIDAY』が放った一撃は、列島を文字通り震撼させた。白昼堂々、遠く離れた異国の地でキャッチされた二人の姿。周囲を警戒しながらも親密な空気を漂わせるその写真は、瞬く間にテレビのワイドショーを席巻した。当時、松田聖子はすでに神田正輝と結婚しており、近藤真彦は当代きってのトップアイドルとして君臨していた。世間はこの逢瀬を「世紀の不倫スキャンダル」として糾弾し、メディアの追跡劇は狂気を帯びてエスカレートしていった。
しかし、近年に明かされた音楽プロデューサーや元マネジメント幹部の回顧録、当時の取材班の証言を辿ると、事件の景色は少し違って見える。二人がニューヨークで落ち合ったのは事実だが、そこには単なる男女の情愛を超えた「孤独の共有」があったという見方が有力だ。頂点を極めた者同士にしか分からないプレッシャー、プライバシー皆無の生活、そして常に偶像であることを求められる重圧。互いにしか吐露できない胸の内を語り合うための束の間の逃避行だったのではないか——そんな解釈が、当時の芸能界の凄惨な舞台裏とともに再提示されている。