幕末を揺るがした異端の知、平田篤胤が描いた異界と維新の深層

幕末を揺るがした異端の知、平田篤胤が描いた異界と維新の深層

幕末を揺るがした異端の知、平田篤胤が描いた異界と維新の深層の見逃せないポイントを徹底的にカバーしました。

彼の関心は、文献の行間から現世の裂け目へと向かう。天狗に連れ去られて異界を旅したと語る少年・寅吉を自宅に引き取り、徹底的な尋問と観察を重ねて書き上げたのが『仙境異聞』である。異界の衣服、食事、天狗社会の階層構造から修行の実態まで、その筆致はどこまでも客観的で冷徹だ。

怪異を迷信として切り捨てる近世の合理主義に対し、彼は「怪異が存在する事実」を経験科学の手法で採集しようとした。民俗学者・柳田國男がのちに民俗学の始祖として注目したのも頷ける。異界を不可知の闇に追いやるのではなく、生活空間のすぐ隣にあるリアリティとして実体化させる試みは、当時の人々のコスモロジーを根底から書き換えてしまった。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。