メディア社会学および心理学の観点から分析すると、大衆が嫌われ芸人に対して抱く感情の背景には、二つの強力な心理的メカニズムが作用しています。
第一に、「心理的リアクタンス(反発心)」です。視聴者は「テレビ局や事務所から、横柄なタレントをごり押しされている」と感じた瞬間に強い拒絶反応を示します。権力勾配を利用して他者をイジる芸人に対し、大衆は無意識の防衛本能として批判の声を上げ、その存在を排除しようと試みます。
第二に、「公正世界仮説(善悪の因果応報を信じる心理)」の存在です。「他者を不当に傷つけた者は、相応の報いを受けるべきだ」という社会規範が、ネット社会によって過熱しました。自身の過ちを軽視し、誠実な代償を支払っていないと見なされた芸人に対しては、何年経過しようとも許しの門戸が開かれません。
【メディア分析】支持を集める表現者と淘汰される表現者の境界線
- 長く生き残る表現者の条件:
- 自らの欠点や愚かさを認め、徹底的に「ツッコミを受ける側」に回る度量があること
- どれほど毒舌を振るっても、その刃の根底に対象への敬意や人間的温かみが担保されていること
- 炎上やトラブルが発生した際、言い訳を排して迅速に非を認める潔さを持っていること
- 急速に淘汰される表現者の特徴:
- 安全圏から他者の尊厳や身体的特徴を嘲笑し、自己を絶対化する姿勢を崩さないこと
- 「あれはプロレスだった」「演出だった」と後から責任を転嫁し、被害者の感情を軽視すること
- デジタル空間における発信が、特定の層への排外主義や差別意識に立脚していること