奈良基地の心臓部である航空自衛隊幹部候補生学校は、将来の航空自衛隊を背負う約600名から700名の学生が毎年入校するエリート養成機関です。入校区分は、防衛大学校卒業生(A幹部)、一般大学等卒業生(U幹部)、部内選抜試験に合格した曹士出身者(B幹部・C幹部)などに分かれています。
ここで明かされる幹部自衛官育成の真相は、単なる知識の習得にとどまらない極限状態での人間性・統率力の鍛錬です。幹部候補生学校訓練内容は、防衛教養、国際法、戦略・戦術論、統率・リーダーシップ論といった高度な座学に加え、徹底した体力錬成と野外実習で構成されます。
特に学生たちが口を揃えて過酷さを語るのが、奈良県内の山野で行われる「総合野外訓練」や「夜間25km武装行軍」です。約20kgの装備を背負い、睡眠不足と肉体的疲労が極限に達した状態で、部隊を指揮・統率する判断力が試されます。元教官の証言によると、「極限状態でこそ人間の本質とリーダーとしての適性が露わになる。部下を預かる指揮官がパニックを起こせば組織は崩壊するため、プレッシャー下での冷静沈着な決断力を徹底的に叩き込む」と語られています。
毎日の生活も厳格そのものです。午前6時の起床から点呼、課業行進、整然としたベッドメイキング、秒単位のスケジュール管理が課され、規律と同期の結束(同期愛)を身体に染み込ませていきます。この過酷な教育課程を修了した者だけが、3等空尉(少尉相当)に任官し、全国の航空警戒管制団や飛行隊、高射部隊などの実戦部隊へと羽ばたいていきます。