物語の核心となるのは、優等生として振る舞いながらも内面に深い空虚を抱える瀬崎愛莉と、自己肯定感が極度に低く他者からの承認に飢えた花井ひなこの歪な関係性です。二人が放課後の理科準備室などで繰り広げていた過激な「秘密の行為」は、単なるいじめや快楽目的ではなく、互いの存在価値を確認するための儀式でした。
しかし、単行本第5巻の結末に向けて、二人の関係は急速に破綻へと向かいます。周囲に秘密が露呈し始め、家族や学校といった社会的コミュニティからの孤立が決定的になった瞬間、二人が選んだのは日常への復帰ではなく、逃避行の果ての心中(自死)でした。
二人が破滅を選んだ決定的な理由は、「他者が介在できない二人だけの絶対的な世界」を完成させるために他なりません。社会復帰や更生は、二人にとって「お互いを唯一無二の存在として独占する関係の喪失」を意味していました。愛莉にとってひなこを最も美しく汚せるのは自分だけであり、ひなこにとっても自分を完全に受け止めてくれるのは愛莉だけだったのです。死を選ぶことこそが、二人の愛を永遠に固定化する唯一の手段でした。