任天堂のモノづくりを語る上で欠かせない「枯れた技術の水平思考」という概念がある。創業者的な発想で知られる横井軍平のこの教えを、最も近くで具現化し、時に技術者として修正を加えながら形にしたのが彼だった。
アイデアだけでは製品にならない。コスト、耐久性、量産性という現実的な壁をどう乗り越えるか。横井が描いたロマンに対し、冷静な技術的フィードバックを与えて商品へと着地させる。直感とロジック、アイデアと実装。このふたつの才能が高次元で衝突し合っていたからこそ、あの時代の任天堂ハードは壊れにくく、安価で、爆発的に面白かったのだ。