一見すると破天荒でショッキングな展開が目立つ本作だが、ストーリーの細部には緻密な伏線が張り巡らされている。カレーエピソード一つをとっても、後に明かされる国家の真の目的や、主人公・狂四郎の身体に秘められた秘密へと地続きに繋がっているのだ。過酷な環境下で生き延びるための肉体改造と、それに伴う精神の変容。すべての設定が必然性を持って結びついている。
集英社が刊行した単行本全20巻の中で織りなされる愛と絶望のドラマは、単なるバイオレンス漫画の域を遙かに凌駕する。過酷な状況下でも失われない狂四郎と志乃の純愛、そして権力に対する命がけの反逆。極限状態の「食」を描くことで、逆説的に生きることの尊厳と愛の気高さが際立つ構造になっている点が、本作の真骨頂と言えるだろう。